LOGIC繁盛店の法則
繁盛店は売上アップの理論と法則を知っている
すべての店舗は、お客さんに満足を与えて、売上を伸ばし、利益を出さなければならない。
あらゆる業態の経営者や店長がこの目的のために一生懸命働いている。しかしながら、売上アップの理論など学校で教わるはずもなく、多くの経営者が独学で経営を身に付け、経験による我流で運営しているのが実情だろう。これはこれで非常に頼もしい限りではあるが、方法論を理解した上で、ご自身の経験を活かしていただければ、もっと効果的な運営が可能になるだろうと思うと残念でならない。
売上アップには、もっとも基本的な理論として、ロジックツリーがある。 今の時代、安くていいものを提供するお店やサービスは腐るほどある。もちろん、安くて良いものならば、お客さんは再び訪れる可能性は高いだろう。
しかし、そのお店が安くて良いものを提供するお店だと知っている人が少なくては、売上は伸びない。また、安いことが必ずしも売上アップにはつながらないのも事実である。重要なのは、ロジックで示されている要素にバランスよく配慮することである。
このロジックにおける看板の役割は、新規顧客の獲得である。先ほども申し上げたように、常連客を獲得するのは大切だが、まずは来店してもらわなければ始まらないのである。
3つの確率を高めて集客を増やす
わたしたちは屋外広告が専門なので、ここでは看板と外装に特化した売上アップの方策を提案していきたい。
大切なのは、発見・魅力・入店の3つの確率を高めることである。
消費行動は、一般的に「注目→興味→欲求→記憶→行動」という一連のプロセスがあると言われている。これは1955年に提唱されたアイドマの法則と言われるものだが、現代においては様相が変化してきている。飲食店のように本能に訴える業態なら、その法則もあてはまるが、昨今ではインターネットやスマートフォンが普及して、そのような単純なルートで購買行動に至る確率は減少していると言わざるを得ない。
長引く不況で、消費者は同じものでもより安い所を探す、より感動を味わえる商品やサービスを求める、という行動になりつつある。
現代の消費行動を法則で表すと、上記のようなルートが最も近いのではないだろうか。
では、この消費行動が看板の3大要素である【発見】・【魅力】・【入店】にどう関わってくるのかを紐解いてみたいと思う。
看板の3大要素① 発見
注目を集めるには、まず多くの人に発見され、どのようなお店 なのか、どういう商品やサービスを扱っているのかを発見して もらうことが不可欠だ。通行人、自転車やバイク、車で通る人、とにかく多くの人に認知されて初めて注目されるのである。
看板の3大要素② 魅力
お客様に興味を持ってもらうには、魅力あるサービスや商品 が必須。
これをいかに知ってもらうかが鍵となるわけ だが、多くのオーナーや店長は、この魅力の演出に無頓着なケースが多い。看板の重要性は認識しているが、目立たせることばかりに腐心している場合がほとんどなのだ。
たった1つの言葉、 たった1枚の写真がその商品やサービスをものすごく魅力的に 感じさせると覚えていただきたい。看板を見た人に対し、視覚的に訴えることができれば、それは興味へとつながっていく。
看板の3大要素③ 入店
さて、興味を感じてもらえたなら、あと一歩と言いたいところ だが、高額な商品ともなれば、先程も申し上げたとおり、消費 者は慎重に行動する。自宅に帰ってインターネットで同じ商品 を探したり、より良い条件を求めて検索する人が多いのだ。
または、興味を抱いたお店の評判を調べたりするかもしれない。 だが、看板やお店を見て興味を持ってもらえたなら、何はともかく入店してもらうことが重要だ。入店に至る導線が弱いために自宅に帰って他店を検索されては、あまりにもったいない話である。入店してみたくなる導線の確保というのは、他ならぬ看板が大きなウェイトを占めているのだ。
では、実際に3つの確率を高めるためには、一体どうしたらよいのだろうか。
私の体験したなかで、最も高い効果を上げた方法を具体的に示したいと思う。
発見:定期的なリニューアルと統一感による大型面積化
店舗を認知してもらうには、まず存在感が重要になる。
看板はあちらこちらに付けているのだが、つい素通りしてしまうお店は割と多い。
影が薄いのだ。
何が原因なのだろう。
それは、まとまりに欠けているからに他ならない。
「こっちの通りから来る車には、この看板」「あっちの通りからくる人向けには、あの看板」とやっていると、看板だけがあちらこちらに付いて、ちぐはぐなお店が出来上がってしまう。しかも、それぞれの色やデザインがまちまちだったりすると、もう致命的である。
私がまだ駆け出しの頃、ある看板店に勤めていた。
そこは大通りに面していて、飛び込みでやって来るお客様の割合が比較的多かったのだが、そこの社長は半年に一回、看板と建物の塗装をやり替えるのである。その際、看板のデザインと建物の塗装は同系色でいつもまとめていた。単なる自己満足と思いきや、驚くことに看板と塗装を一新した後は、飛び込み客が必ず増えるのだ。
何度もやっていたら、そのうち飽きられると思うだろう。
しかし、リニューアルするごとに、「初めて看板屋の存在に気付いた」という人のなんと多かったことか…。
お分かりいただけただろうか。お店の看板と外装というのは、鮮度が落ちれば周囲の景観に同化してしまうものなのだ。だからこそ、それを逆手にとって、定期的に看板と外装をやり替えれば、人々の目を引き、新規顧客の獲得につながる。
私はこの事実から、看板の持つ力を身をもって体験したのだ。そして、潜在的な顧客というものは、お店の周囲にたくさんいるのだということも。
しかしながら、もし看板だけで建物の塗装をしなかったとしたら、結果はどうだろう。おそらく、それほどの効果は上げられなかったに違いない。 例えば、店舗のイメージを変えようと思って、内装と看板をリニューアルしたとする。その程度の変更で周囲の注目を引くだろうか。お店の前を車で毎日通りながら、漠然と眺めている人が気付くだろうか。仮に気付いても大きな感動は得られないだろう。
つまり、看板をそれぞれ単独で付けたり変えたりしても、周囲の注目を引くような効果を上げるのはむずかしいのである。
看板に最大限の広告効果を出させたければ、店舗全体、ビル全体との統一感を第一に考えるべきだ。看板だけなら気付かない人でも、 全体が変われば、何か新しいものが出来てる!と驚きの声を上げるはずなのだ。
発見される看板とは、外装を含めたビジュアル広告なのである。だからこそ、前述の看板店の社長は、看板と建物の塗装を、必ず同系色でリニューアルしていたのだ。
要するに、色によって全体に統一感を持たせるという同一色彩の大型面積化と言える。看板を青色で作ったら、店舗やビルの壁面も同じ青色を用いて装飾すれば、統一感が生まれて、単なる点ではなく、ボリュームのある面として認識されるのである。ボリュームがあれば、あちこちに看板を付けなくても大いに目立ち、発見確率が格段に上がるのだ。
※掲載した写真は、その理論の典型的な例である。このリニューアルを施したオーナー達は、集客率のアップに、一様に驚きの声を上げたものである。
魅力:サービスに付加価値をもたせ、ビジュアルとコピーの工夫した組み合わせ
昔、私があるタイヤメーカー直系の代理店で営業をやっていた頃、こんなことがあった。
すでに世界的に大きなシェアを占めるライバルの国内タイヤメーカーが、「タイヤをコンピュータで解析して作る」という謳い文句でテレビCMを展開したのである。私たちは、何を今さらそんなことを言い出したんだ?と一様に思ったものだ。
というのも、タイヤをコンピュータで解析して、耐摩耗性だとか、グリップレベルを測定するだとかいう技術は、当時どこのメーカーでもやっていた、ごく常識的な技術だったからだ。
しかし、世間の反応は大いに違っていた。
「あのメーカーは最先端の技術でタイヤを作っている。やっぱりさすがだなぁ!」という声とともに、今まで以上にシェアの拡大に成功したのだ。私たちは、やられた!と悔しがったものだ。
今の話でお分かりかもしれないが、既存のサービスや商品でも、工夫次第で大きなアピールポイントになるということだ。得てして、当事者というのは、自店の強みに気付かないことが多い。強みを見出せないから、安易な価格勝負で他店としのぎを削る羽目におちいるのである。もし、どうしても強みがないのなら、作ってみることだ。商品開発も大事だが、もっと手間のかからない、埋もれた強みがあるはずだ。
だが、今の話は、あくまで強みを創出するという話。看板として、どうアピールするのかという解説にはなっていない。しかも、強みを看板でアピールすると言っても、看板の大きさも限られており、下手にセリフを並べても見づらいし、デザイン性の低下という恐れもあるだろう。
私がいつも感じていることを言わせていただくと、街にあふれている看板の多くが、文字を見せる工夫が足りないなぁということである。「看板とは広告なのだ」という原点に立ち返ってほしい。ビジュアルと文字(コピー)がお互いに絡み合い、いい関係を成してデザインされていることが大切である。ビジュアルで見せる広告、ビジュアルによってコピーが立つ広告、そして、そのコピーが伝えたいことを、見る人に的確に語りかけることが興味を引くのである。
具体的に言うと、売りたいものや、強調したいことを直接的に表示するのもよいのだが、間接的なメッセージとして伝えるのである。産地直送の野菜が売りだとしたら、「畑の土の香りがします」というコピーとイメージ写真を入れるだけで、印象はかなり変わるはずである。
コピーとビジュアルの上手な組み合わせは、見る人を自然にひきつける力を持っている。そして、記憶に残り、ブランドイメージを育んでいくのである。
入店:入りやすさと安心感の演出
あなたにも、こんな経験はないだろうか。
女性と車でドライブをしていて、お腹がすいたからどこかで食事をしようということになった。せっかくだから、ちょっと雰囲気が良さそうなお店に入りたいと考える。その際、左車線に面しているお店を探すことが多いだろうが、その左側にある良さそうなお店を何軒も素通りしてしまい、結局、しばらく走った挙句、ファミレスに入ってしまった。
それは必ずしも、あなたに決断力がなかったというわけではない。思い出してほしい。なんとなく入りづらかったと感じてはいなかっ ただろうか。
実は、雰囲気は良いのだが入るのに躊躇するというお店は、かなり多い。車でお店を探す場合、その傾向が顕著になりやすい。その点、ファミレスは駐車場の入口がわかりやすいし、なんとなく安心して引き寄せられてしまう。人は、知らない所に入るという行為に対し、期待と不安で揺れているのだ。ファミレスは、その心理を理解し、入店に導く手法を確立しているのである。
お店の雰囲気づくりは、多くのオーナーが心を砕いていることと思う。もちろんそれも大切だが、それ以上に重要なと言っても過言ではないアイテムを列挙してみよう。
- 車で来店するお客様向けに、駐車場の入口を分かりやすく表示する看板。
- お店の入口付近で、お客様をお出迎えするスタンド看板。
- 価格を分かりやすく表示したサイン。
- 店内の様子とスタッフを紹介するサイン。
- 入口の足元をライトアップする照明。
- 活気と盛況感を生み出すのぼり旗。
- 営業感を示す暖簾
いずれも微妙な期待と不安を抱いたお客様に、安心感を与えて入店へ導くものである。お店の業態によっては、必要ないものもあると思うが、その辺りはTPOで判断していただきたい。
このなかで、私が特に推すのはスタンド看板である。それもデジタルサイネージと呼ばれる電子看板の効果が非常に高い。以前、当社が実施したアンケートの統計でも、抜群の数値を示している。
ある美容室では、スタッフ紹介のスライドを流して非常に好評を得ている。お客様が親近感を覚える内容になっているのだ。
ある個人経営の寿司店では、価格とネタの紹介をスライドで流している。明瞭な価格の表示が、お客を安心して入店させるきっかけになっているのだという。
入口でお客様をお出迎えしつつ、安心感を与える、電子スタンド看板の効果ををぜひ試していただきたい。